ryosuke

猟人日記“狼”のryosukeのレビュー・感想・評価

猟人日記“狼”(1977年製作の映画)
3.9
パラジャーノフが絶賛ということで気になったのだが見てよかった。
ロシアの森林を中心とした美麗な風景描写が光る。セリフを極力排し、カラスの鳴き声を始めとした豊かな自然音に雄弁に語らせる。
わたぼこりが舞う草原を一人歩く少女の画や、主人公の吹くオカリナに合わせて、暗い部屋に差し込む光に照らされながら踊る娘のシーンなど詩情に満ち溢れている。
あまり言葉を発さない娘の感情の動きが観客に繊細に迫ってくる。盗っ人が逃げ出そうとする姿を静かに見つめるシーン、赤ん坊の泣き声に苛立つ父親を察して赤ん坊に指をしゃぶらせるシーン等々。
父が赤ん坊をあやす手つきの不器用さも良い。赤ん坊が思いっきり人形に見えるシーンがあったけどご愛嬌かな(人形だよね?)。
農奴たちに恐れられる主人公もまた、資本家の一存であっさり失職し死す運命にあるという着地はソヴィエト映画らしいな。
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