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オーシャンと十一人の仲間のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

オーシャンと十一人の仲間(1960年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

ハンサムでオシャレで歌って踊れるナイスミドル達が金太郎飴のように次々登場する。
「…うーん、僕はこのおじさんに決めた!」
「じゃあ、私はこのおじさま!」
と世のボーイズアンドガールズ達が安心して好みのナイスミドル達を選べる。

ナイスミドル達の軽快な活躍をニコニコしながら観る映画なのだが、ラストの「火葬」というオチで自分は顎が外れた。「なーんだ、つまんないのー。」と心の中のボーイズアンドガールズ達の声が聞こえる。

思い返して見ると、1番良かったシーンってオープニングクレジットのカウントアップで「11」を表示した所かもしれない。異常にオシャレで目を見張った。

上映終了後、劇場のトイレ行列に並んでいると、前の人達が本作の感想を言い合っていた(自分はこういうの盗み聞きするし、電車でも他人のスマホ画面を盗み見る恥ずかしい男です)。「当時の大スター達が大勢登場するから、1人1人の説明シーンに時間を割きすぎて、ストーリーはちょっと残念。」概ねこういった話であった。自分はとても納得した。「今の話、凄く参考になりました!」といきなり話し掛けることはせず、小便を漏らさぬようにじっと膀胱に力を込めていた。

恥ずかしい話であるが、当時の大スター達の顔と名前が自分にはさっぱり分からなかったので、話を掴むのに結構難儀した(フランク・シナトラは分かった)。当時の人達にしてみれば、全員分かるから、「あいつとこいつが重要な役で…」というのが詳しい説明なくても自明なのだろう。大相撲をさっぱり知らない人に横綱、大関、関脇、小結と一同に並べて見せても、誰が強くて重要かが分からず、「全員、裸で太っている」という感想しか持てない感じかもしれない。このような映画的知識の無さが本文冒頭の「ハンサムでオシャレで歌って踊れるナイスミドル達が金太郎飴のように…」に表れている。

サミー・デイヴィスJr.という黒人の方の歌がめちゃくちゃ上手で聞き惚れた。昔の映画で結構ありがちなハモニカが身近にある感じ憧れる。今の東京でハモニカが似合う場所はあるであろうか。新宿駅、ダメ!スカイツリー、ダメ!国会議事堂、活動家っぽいダメ!代々木公園、ロハスっぽいダメ!ダメダメダメである。

カジノ5ヶ所を襲うという肝っ玉の太さは素晴らしく、ラスベガスが今に比べてまだちゃちで可愛らしい。クレージーキャッツの映画「クレージー黄金作戦」も影響受けていそう。

送電鉄塔を爆破するというテロ行為に引いたし、心臓発作で死んじゃう電気技師の人が電気回路に素手を近付けて確認するのもいただけないと思った(感電しちゃうよ、ご安全に!)。

札束を棺に隠し、それをちゃっかり回収してハッピーエンド、なんだろなと思っていたので、最後普通に火葬で札束燃やしちゃうというのにはズッコけた。見終わった直後は「なんじゃそりゃ」とガッカリ感も大きかったが、数日経った今では別にどうでもよく思える。

主要登場人物の全員、大スターなのだろうけど、その中でも番付・カーストがあり、撮影現場ではどろどろした時があったりしたのではないだろうか。そういう話も知りたい。
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