ゴトウ

ライオン・キングのゴトウのレビュー・感想・評価

ライオン・キング(1994年製作の映画)
2.9
意外とあっさりしてた。感傷に浸る間もないし、目に見える成長もない。あくまで血は血であって、生まれ持った使命や才覚を「思い出す」だけなのが野生の世界なのか?とすれば、スカーにこそ叶わぬ夢を見ることなく「ハクナマタタ」で楽しく生きてもらいたかったと思えてしまう。

父ムファサがシンバに甘すぎて、反乱がなかったとしても愚かな王としてプライドランドを無法地帯にする未来が待っていたのでは?と思える。そもそもクーデターも、ムファサのスカーに対する一方的で高圧的な態度が招いた結果とも言えるのに、「王様の息子だから」とかそんな理由でなぜまた支持される。王たる資質とかは抜きに、血統一本でスカーは否定されて殺される。どうあっても報われない(王にもなれず重んじられもしない)スカーは最後まで小悪党としか描写されないけど、王の息子に生まれなかったら諦めとけ!っていうことなのか?

「我々はシマウマを食べる。我々は死んだら草になり、シマウマに食べられる」と教えられつつも、プンバァとティモンとつるんだら「こいつらは良い奴らだから食べない」っていうダブルスタンダード。食えよ。人格は認めてるけど、殺すか殺さないかはライオンが決めて良いってすごく一方的だし、王様に気に入られれば草食動物(またはライオンに捕食される者)は安泰ってことになる。ガチでビビってるティモンと「食べないわよ」って(数分前は食べようとしたのに)呆れてるナラのシーンとか、趣味が悪いと思う。

王の子だから勝ち、より若いから勝ち、ライオンだから勝ち。ミュージカルとして、ジュブナイルとしては楽しいから良いけど、食物連鎖のデフォルメとしては幼稚だと思った。「ハクナマタタ」を臆病さの正当化に使ってたシンバを、誰かちゃんと叱れよ。
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