Cisaraghi

忍びの者のCisaraghiのレビュー・感想・評価

忍びの者(1962年製作の映画)
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雷蔵マラソン実施中。先は長い。そろそろ他のシリーズものにも手をつけようと『忍びの者』シリーズ第一弾。

数多の時代劇に出演している雷蔵さんだけれど、こんな大河ドラマっぽいのは意外になく、そのほとんどは泰平の世を舞台にした小さな話で、大きく歴史は動かない。これは戦国時代の天正伊賀の乱という史実を元にした小説の映画化らしく、実際に信長と伊賀の忍者衆との間にあった戦いを描いているという。この頃の伊賀の国は事実上忍者衆が支配していたようだ。そもそも忍者とは何かを実はよく知らないのでWikipediaをチラと読み、日本の武士の世のミッションインポッシブルな人達という雑な理解を得たが、彼らが確かに実在していた集団だった、というリアリティーをこの映画からは感じられる。

時代劇なのに目張りを入れていないボサボサヒッツメ髪の体育会系雷蔵。メイクしてる時としていない時とで別人というのはよく言われているけれど、素顔に近いこの雷蔵さんは、いつもの優男ぶりが消えて男っぽく、ヒーローでもスター雷蔵でもない、現代にも通じる一人のリアルな若者としての主人公像になっている点で特色があると思う。しかし、どれだけ色々変身するんだ、この人は。
 当初は陽性で一見硬派なキャラクターだが、そこは雷蔵なので例によって女が放っておかず、そこから次々と追い込まれ…というお話。でも、今回はフツーに女性を追っかける方が似合ってるような。

トム・クルーズのような派手なアクションはしない雷蔵、ミッションインポッシブルな映画を見慣れた目からすると、アクションもスペクタクルな戦闘シーンととても素朴に見えるが、当時としてはそれなりにお金をかけ力を入れて大々的に撮影しているのだろう。それでもどうしても今の技術と比べて見劣りしていまう部分に対し、忍者の大将が住むからくり屋敷の作りは面白い。もっとそちらを見せてもらいたかったくらいだ。ツッコミどころの多い百地三大夫だけど、おかげで屋敷のからくりが見えるのは功。忍者村のようなテーマパークに行けば忍者屋敷の実物があるのかもしれない。日光江戸村に行ってみたくなった。

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