ひらさま

要塞のひらさまのレビュー・感想・評価

要塞(1970年製作の映画)
4.0
エンニオ・モリコーネの訃報を聞いて、ホントにガックリ
残念で悲しくて仕方ない
同軸で語れる映画音楽作家が存在しない、個性的で独創的な唯一無二の存在でした
彼を追悼するには一体何を観れば良いのか?
有名作品を観直すのが普通
もちろん観直すに決まってますが、今はちょっと気分が違う
そこで例えB級であっても全力で魅力的なスコアを提供していた彼だから、ここは映画はB級ながらも哀愁漂うスコアは超A級の本作
サイレンサーシリーズなどのお気楽アクションを撮っていたフィル・カールソンをイタリアに招いて撮った本作は意外にもシリアスな一編
ドイツ軍のダム破壊工作の為に降下したアメリカの小隊、しかしドイツ軍に発見され機銃掃射でほぼ全滅
隊長のロック・ハドソンだけは重傷ながらも村の子供たちに助けられる
子供たちは親をドイツ軍の虐殺で失っており、子供ながらに復讐心を抱いていて、部下を失ったハドソンとダムの爆破作戦に同行する事となる
作戦遂行の為に子供を利用するハドソン、ちょっとイヤな感じはするが、彼らはダムを目指す
もうひとり、負傷したハドソンを治療するのに子供たちが拐ってきた女医(シルバ・コシナ)も同行
彼女は子供たちを利用するハドソンに意見するが彼は任務の遂行を優先
そしてダムは爆破されるが、狂気に駆られたリーダーの少年が機銃を乱射
子供たちからも犠牲者が出る

全く評判にならず評価もされなかった本作ですが、戦争の狂気や虚しさを不器用ながらも伝えてくれた好編だったと思います
そしてモリコーネのスコア
口笛を使ったオープニングのスコアは実にモリコーネらしい
タランティーノは「ジャンゴ」で流用していましたね、残念ながらサントラには未収録です
ちょっといい奴だな、タランティーノ
ハドソンは口髭を蓄えたマッチョぶりで、後にそー言えば、と思っちゃいましたが、こんなにカッコいいハドソンは後にも先にも本作以外に知らない
エロさで売ってたシルバ・コシナもハドソンとは危うい事にはならず、理性を保った役柄を好演
監督のフィル・カールソンはこの後マイケル・ジャクソンの主題歌で有名な「BEN」と「ウォーキング・トール」でまさかの大ヒット(いずれも日本では当たらず)を飛ばし名を残しましたね
とにかく、さよならモリコーネ
ありがとう