ちろる

夏の庭 The Friendsのちろるのレビュー・感想・評価

夏の庭 The Friends(1994年製作の映画)
4.1
日本版スタンドバイミーのような雰囲気もあるジュブナイルものの良作。
読書感想文指定文庫だったからよく覚えている。
原作は三國連太郎演じる謎のおじいさんが、不気味→偏屈ジジイからこどもたちと交流しながら段々生命力が漲っていく様子が素晴らしい。
90年代の夏休み、こどもたちはこんな風に真っ黒になって夕飯の時間まで汗びっしょりに遊んでいた。
当たり前のそんな風景がもう、今となってはノスタルジーを感じるのが切ないのだけど、今の時代からこういう作品を観るからこういうさりげないシーンがキラキラして見えるのかもしれない。

子どもは時に「死」に無性に興味を持つ瞬間がある。
きっかけは身近な人のお葬式だったり、ペットの死だったりするのだけど、
このくらいの年齢で死を知る事が出来た子供は、恐らくそして人を傷つけたりするような大人になる可能性が少なくなるのではないかと思っている。
死を目の当たりにして、悲しむ事は一見悲しくて不幸な事のようにも見えるけれど、大切な人(もちろん動物も)の死も決して無駄ではなく残された人が残された人生を丁寧に生きていくためには必要ない通過点なのではないだろうか。
この少年3人のかけがえのない夏休みの時間は、確実に彼らの一生を変えてくれる。
少し物悲しいラストだけど、清々しくも感じられる宝石のようなストーリーだった。
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