アキラナウェイ

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまでのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.9
ギルバート・グレイプにおいて弱冠19歳で度肝を抜かれる演技に魅せられて以降、同世代という事もありレオナルド・ディカプリオの出演作はほぼリアルタイムで追いかけてきたつもり。

Netflixで見つけた彼の主演作。ケイト・ウィンスレット共演、2008年の作品。
あら?取り零しがあったか?
何の予備知識もないまま、鑑賞決定。

そうしたらまぁ、ただただ壊れていく夫婦を描いた哀しい映画でした。

1950年代のアメリカ、レボリューショナリー・ロードと呼ばれる通りに面した庭付きの理想的な家屋に住むフランク(レオナルド・ディカプリオ)とエイプリル(ケイト・ウィンスレット)。彼等は2人の子どもに恵まれた幸せな夫婦だったが、いつからか閉塞感を抱くようになる。

もう、これはレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの演技のぶつかり合いが凄い。

タイタニックの共演以来、実に11年振りにして彼等が演じるのは、激しく愛し合っているのにすれ違い、傷つけ合う夫婦の現実。

鋭角に眉毛をつり上げ
溢れる感情を爆発させ
相手に指を突き付けて怒るレオ節。
本作でもレオ節が炸裂。
…と思えば泣き崩れ、少年の様な眼で相手を慈しむ。レオナルド・ディカプリオの演技が好きだ。

ケイト・ウィンスレットも負けておらず、
大声で相手を罵り拒絶し
声と身体を震わせて泣く。

主演がこの2人でなければならない説得力が彼等の演技にはある。

キャシー・ベイツ、マイケル・シャノンなど脇を固める役者も見事。

これは観る側の人生経験と恋愛観で大きく評価が分かれる。

本作におけるフランクとエイプリルは一際磁力の強い者同士の磁石の様で、惹かれ合う時と反発し合う時の勢いが尋常じゃない。ただ、こういう男女は実際にいる。

ありったけの罵詈雑言を浴びせ合った翌日、フランクがばつが悪そうにダイニングを覗くと、驚く程に穏やかに朝食を作る妻がいる。「目玉焼きにする?それともスクランブルエッグ?」昨夜の事が嘘の様に妻は優しい。違和感を覚えつつも、安心してしまう夫。

…そう、女性は覚悟を決めた時程、普段以上に穏やかで優しくなるもの。男はいつもそれに惑わされ(もしくは本質に気付かず)、取り返しのつかない結末へと向かってしまうもの。

後味は悪いが、僕の場合は離婚経験者なので「さもありなん」。
「知ってる。こういう事、あるから」とリアリティが感じられて非常に良かった。