warderbrothers

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまでのwarderbrothersのレビュー・感想・評価

4.5
ー感想ー
ディカプリオとケイトウィンスレット!?タイタニックの2人だ!これはきっと最高のロマンス作品に仕上がっているはずだ!そんな浅はかな考えで鑑賞した私に「アメリカンビューティー」監督のサムメンデスが立ちはだかる。「タイタニック」(配役)と「アメリカンビューティー」(監督)勝つのはどっちだ!
結果 サムメンデス率いるアメリカンビューティーの圧勝。そんな作品です☺️
考えれば考えるほど具体的な答えが見えてくる点はアメリカンビューティー以上によく出来ていると思います。



ー考察ー(ネタバレ有り)
この作品は色んな視点で見ることで新しい発見があり、メッセージ性があるのとはまた違った意味で考えさせられる作品です。

①夫から観た夫婦生活
出会った頃 (パリで)偉大な事を成し遂げ、偉大な人物になるんだと希望で溢れた人物だった。そんな時期に出会った妻と結婚、そして子供が生まれ、レボリューショナリーロードに家を持つ富裕層の仲間入り。ある日妻と喧嘩した後についつい不倫をしてしまう。帰宅後に妻から「パリへ移り住もう!」と提案され、不倫の後ろめたさもあったのか妻に同調。そこから夫婦関係が崩壊。妻が狂ってしまったのだ。


②妻から観た夫婦生活
希望に満ちたディカプリオに惹かれ、恋に落ち結婚。結婚して落ち着いてもなお芝居をするなど、妻は出会った頃と変わらず野心家だったといえる。そして夫に夢のため、人生のため「パリに移り住もう!」と提案。だが昔の夫はもうそこにはいなくて、平凡な生活で満足してしまっている。生きる価値が見出せなくなった妻はお腹の子と心中(故意的かはわからない)してしまう。

なぜ、2人の関係は燃え尽きてしまったのか。そして夫に同情してしまいがちな理由はもう1つの視点に隠されている。

③第三者から観た夫婦生活
家庭を営む上で近所付き合いは欠かせないし、他にも同僚との関係、旧友との関係など、家族が新しくできてその家庭に属してもなお他人との関わりは必ずあります。
そんな第三者からみたあの夫婦はどう映っていたのか振り返ってみましょう。

旧友、近隣の住民、同僚
これらの人々は最終的にパリに行かずに正解だと、皆夫側の価値観であの夫婦を評価していました。
では妻側の人間はいたのでしょうか。
精神的に病気を持った人間ただ1人でした。

これらの事実から夫は世間でかなり認められた立場にあって、妻は全く認められていないことがわかります。そして最終的に妻は死んだ。夫はひどく嘆き悲しんだ。その要因は夫婦の関係にのみあるのでしょうか。人は他人に認められて初めて生きがいを感じ、自己肯定感を高めることができます。妻にはそれができなかった。夫婦の関係だけで観れば面白い事実があります。①と②だけを見比べると変わったのは夫、変わらなかったのは妻なのです。
つまり、典型的(平凡)な夫婦生活の価値観で判断せず、夫婦の間にあった価値観で判断すれば
間違っていたのは夫、正しい選択をしたのは妻。ともとれます!

夫婦関係って、外部からヤイヤイ言うものじゃないんじゃない?家族とその外部の境界線はある程度引いたほうが良さそうだと思わされました。
後から考えれば考えるほど深みが出る作品、探究心がくすぶられますね。
warderbrothers

warderbrothers