解釈の幅が広くテーマの取りようによっていくらでも構成できるむしろ映画向きな原作だと思う。ただしだからこそその多相性を散りばめてわけのわからないものを作るのならともかく、原作でのテーマですらない単なる中二病の童貞のマザコン純愛ものに落とし込んでしまっているところが許せない。
ATGなのだから思い切って原作を脱構築化していくらでもシュールな表現を取れそうなものだが。原作が持つ華麗なビジュアル描写をわざわざオミットしているのは全く理解できない。
そのくせ原作では男の登場人物は僧名かあえて苗字のみの表記で匿名性を意図しているところ、制服の名札で役者の芸名の名前を使うなどこれまた原作には反した楽屋オチだけはしっかりふざけることは忘れてない。
唯一篠田三郎のキョドる演技はよかった。ここだけ評価。