あしからず

バージニア・ウルフなんかこわくないのあしからずのレビュー・感想・評価

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やっちまったなあ、と後悔している。というのもこの作品のオチを知っていたのに観てしまったから。種を知っている手品に驚きはない。これは大昔読んだ七色いんこのせいである。もちろん手塚治虫に非はないが…。

それでもエリザベス・テイラーのヒステリックで高慢な中年女性の演技は素晴らしく悲惨であのラストを見事強調していた。戯曲原作のため登場人物はほぼ4人のみ。映画内の時間はおそらくたった6時間ほどだがこれが本当に長く感じる。なにせ135分ほぼ全て夫婦の怒鳴り合いいがみ合い。かつお節のように精神が削れてうんざりしてくる。短気な人なら途中で席を立つんじゃないかしら。
でもそれらは全て最後のための下ごしらえ。愛といえば愛だけど真理といえば真理。誰を信じればいいのかなんて言うけど真実なんてどこにもないし人生もゲームみたいだしみんな多かれ少なかれお芝居をして生きてるのだからこの映画は眼を覚ますのには非常に最適。

3人を1つの画面に入れて映したり場面転換や俯瞰のカメラワークが特徴的だったのと、4人の演技がとにかく神がかっていた。あんな現場は精神消耗してそれこそ浴室の床の上でブランデーのラベルを剥がしたくなってしまいそう
日本版舞台のマーサ役が大竹しのぶというのも最適中の最適だなあ
あしからず

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