しましま

御法度のしましまのレビュー・感想・評価

御法度(1999年製作の映画)
3.6
約20年前に鑑賞。
新撰組関連の映画は数多あれど、色々な意味でとびきりの異色作。
司馬遼太郎先生の短編「新選組血風録」内の「前髪の惣三郎」「三条磧乱刃」が原作。大島渚監督の遺作。

これがデビュー作となる松田龍平の妖艶さが文字通り怪しく危うい。
概ねフィクションながら男所帯だけに史実として隊内に衆道が流行っていた時期もあったようですね。
さてタイトルの御法度とは局中法度を指すとは思うんだけど、別に衆道だから違反と言うわけではなく、「士道不覚悟」って事になるんだろうか。


それにしても崔洋一監督の近藤局長とかたけしの土方副長とか、最初は「えっ」って思ったけど、観てみると違和感はあれど画力的な凄みもありつつ、ピースとしてうまくハマっていた感じ。
ワダエミデザインの隊服も既成概念を覆す感じで良かった。

ラスト土方が「化物め!」と吐き捨てるように桜の樹を斬り倒すシーン、彼が断ち切りたかったのは化物に取り憑かれたかのような惣三郎の妖うさか、己を含めた人の心に巣食う弱さ故の危うさか。