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懲役太郎 まむしの兄弟のRenkonのレビュー・感想・評価

懲役太郎 まむしの兄弟(1971年製作の映画)
4.0
ヤクザ映画にコミカルさを織り交ぜるなら、高田宏治の右に出る者はいないのではないだろうか。
しかも、妙に説得力ある男の教訓めいたものが時々出てくるので、思わずハッとしてしまう。

懲役太郎 まむしの兄弟シリーズ第一作目。
映画は、出所したマサ(菅原文太)を、弟分のカツ(川路民夫)が迎えに行くところから始まる。
神戸に向かう荷台の上。
サントリーオールドを煽りながら、カツは今までの懲役の数を表した金バッチのついた帽子をマサに渡す。
「兄弟…13回目の懲役は一緒やぞ!」
2人の絆の深さを、早々に感じる冒頭だ。
内容としては、
どこの組にも属さず、モラルも秩序もないマサとカツ(通称まむしの兄弟)が、みなしごのゆきちゃんや、七友会の早崎(安藤昇)と出会ったことにより、男とはなんぞや?という疑問に立ち向かうというものだ。(と、解釈した)
金に釣られ、早崎を襲撃しようとした2人だったが、早崎のインパクト抜群の龍の刺青に思わず怖気ずいてしまう。
この一件後、早崎に負けじとスミを入れにいったまむしの兄弟。
そこで、彫り師のおっさんは
「刺青っちゅうもんは、男の根性を刻むんや。渡世人の言葉で言えば、任侠道や。」
と二人に教える。
こうして、男の任侠道(未完成)を背負うことになった2人に、以前のような奔放さは影を潜めていくのであった。

高田宏治の脚本は、中島貞夫の元だとより一層映える気がする。
襲撃シーンからの、刺青のクダリで終わるラストも良かった。が、
この映画一番の見所は、出所明けで腹を空かせたマサを、カツがフランス料理屋に連れて行くシーンだ。
そのシーンを以下抜粋して締めたいと思う。

(ピアノの弾き語りまでついて、明らかに場違いな雰囲気に萎縮するマサ)
なんや、、あんまりえぇ感じの店と違うのぉ…。
せやけどな、ここは神戸一の食いもん屋の店らしいで。
テレビでジャンジャン宣伝しとるがな!
(近づく給仕)
おい、ケチなおっさん来よったで…!
いらっしゃいませ。
(メニューを渡されるカツ)
なんやこれ、英語やんけ。
フランス語でございます。
!ハハ、、わかっとるがな!
じゃあ、これ2人前や!
かしこまりました。
あ、おっさんちょいまち!兄貴もなんか頼んでや
!ワイに任せるぅ
いや、そう言わずに、。
…これでえぇ
こちらは、既にお連れ様がご注文致しました。
…これなんや?
エスカルゴ。カタツムリでございます。
でんでんむしけ?!
ほなら、この1番大きな字のやっちゃ。
それは、。
それは、、って!これでええってゆうちょるやないけぇ!
それは当店の名前で…。
ごらぁ!!おどれの店には人間の食うモンはないのんけ?!肉や…肉はないのんけ?!
肉料理でしたら、こちらでございます。シャトーブリアン。
なんでもええから、ジュージュー焼いて持ってこい!!
お焼き加減は。
ええ加減にせえ!
では、ミディアムで。
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