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三人の妻への手紙のmendeのレビュー・感想・評価

三人の妻への手紙(1949年製作の映画)
4.1
デヴィッド・フィンチャーの「マンク」の弟、ジョセフの監督・脚本作。
「三人の中の誰かの夫と駆け落ちする」という手紙を受け取って顔色が変わる三人の妻。そこから加速する面白さ。マンクの弟、お見事である。

舞台はニューヨーク郊外の高級住宅地。を出したのは男たちの羨望の的で、美人で洗練されたアディ。彼女はこの映画のナレーターでもあるが、姿は表さない。「レベッカ」and「桐島、部活やめたってよ」方式である。不在の人物に振り回される人々。

手紙を受け取った三人の妻は、みんな夫との関係に不安を持っている。とてもよかったのは、この三人が足を引っ張りあったり、悪口を言い合ったりしないこと。こんなの誰も見たくないのに、映画やドラマではありがち。

三人の妻の一人、デボラは軍隊出身で農家生まれ。流行遅れのドレス(ほんとにひどい)しか持っていなくてこのスノッブな街に適応するのを心配しているが、リタ(彼女の三人の妻の一人)がデボラをばかにしたりせずに手助けする。
リタはラジオ作家として成功したくて上司夫妻を家でもてなすが、とんでもない俗物で夫を含めげんなり。ただここで、男なみに働くリタを揶揄するような視線はない。
貧乏なローラメイは美貌にものをいわせて歳の離れた資産家の妻の座をゲット。

彼女たちはそれぞれ出自や容姿、仕事、パワハラそして夫の愛に悩んでいるがそのことをバカにしたりしていない。それぞれ真剣なのだ。問題は小意地の悪い手紙を書くアディなのだ。

セルマ・リッターは最近見た「裏窓」と同じような役柄。リタの家の家政婦で、ローラメイの母の友人。小気味がよい。
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