シネラー

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団のシネラーのレビュー・感想・評価

3.5
シリーズ第5作を再鑑賞。
物語的には停滞しているようにも感じるが、
孤独に陥っていくハリーに寄り添う
仲間達の存在を良く描いた作品だと思った。

闇の帝王の復活の真偽が問われ、
かつてヴォルデモートに立ち向かった
不死鳥の騎士団が再起し、
ハリー自身もホグワーツ内で
ダンブルドア軍団を結成して決起する
内容となっているが、
本作はハリー達3人以外の生徒も
事件の本筋に関わるようになった事で、
殺伐とした中での仲間の尊さを
全編通して描いていると思った。
ハリーが先生の立場になって
同級生達に防衛魔法を教えていくのは、
学生の部活のような雰囲気だった。
前作まではコメディリリーフ的な
役回りだったネビルが活躍し、
新たに登場したルーナといった人物も
魅力的に描かれていて良かった。
年相応なハリーの恋模様も描かれるが、
そのほろ苦い恋路も成長だと思った。
そして、
死喰人達との神秘部での戦闘も見応えがあり、
ダンブルドア対ヴォルデモートの
激しい魔法の応酬も好きな場面だった。
ハリーとシリウスの場面は、
物語前半にかけてが親子のように
描かれるだけに、
終盤が悲痛に感じる場面だった。

しかしながら、
ヴォルデモートが神秘部の予言を
追い求めた理由やその重要性は、
作中を通して今一つ感じられなかった。
又、一人になる事が危険だと
散々に忠告されるにも関わらず、
決戦の直前まで一人で戦おうとする
ハリーの無鉄砲さも気になる部分だった。
そのハリーを守るダンブルドアの
動向に関しても、
かえって逆効果にしか思えなかった。
加えて、魔法による戦闘が本作から
激しく描かれていくが、
無言で呪文を唱える事も多くなる点は
少し寂しく残念に思う部分だ。
更には登場人物達の描写に関しても、
特に目立った描写がないまま
出番を終えたりしている人物がいるのも
気がかりに思う部分だった。

個人的な思い出ではあるが、
本作のアンブリッジのような教師が
複数名いる高校を無事に卒業できたのは
友人がいたからこそだと、
再鑑賞して改めて思う今日この頃だった。
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