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アニエスの浜辺のsonozyのレビュー・感想・評価

アニエスの浜辺(2008年製作の映画)
3.7
2008年、アニエス・ヴァルダ監督による自身の個人史的なドキュメンタリー。
セザール賞・ドキュメンタリー映画賞 他

彼女の心象風景である、子供時代を過ごしたベルギーの浜辺に、さまざまな形の鏡をスタッフと共に配置し、海、空、人々、本人を映し出す導入。

古い写真、再現シーン、映画作品とその解説。
美術学校、漁師経験、撮影学校でのジャック・ドゥミとの出会い。二人の子供たち、孫たち。
中国、キューバへの撮影旅行。夫と渡ったアメリカ西海岸での生活・・・

過去を巡り、関わった人たちと触れ合い語り、ひとり船で水路を進み、彼女の多様な体験が語られていく。

ジェーン・バーキン、ジェラール・フィリップ、ジェラール・ドパルデュー、ミシェル・ピコリ、カトリーヌ・ドヌーヴ..
そして、ゴダールを始めとするヌーヴェル・ヴァーグの盟友たち。

彼女の作品で見たことがある『5時から7時までのクレオ(1961)』と『幸福(1964)』の話。
欧米の錚々たるスターが集結した映画『百一夜(1994)』がコケた話。

不治の病に倒れてしまった、最愛の夫、ジャック・ドゥミの死の直前まで製作していた『ジャック・ドゥミの少年期(1991)』の話。

最後は、当たらなかった『創造物(1965)』のフィルムをブラインド代わりにした部屋の中で「映画」について語る。
そして、合計80本のホウキを持参した友人・知人から誕生日お祝いされる幸せそうなアニエスさんでした。

こんな風に振り返られる人生、素晴らしいなぁ。
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