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アニエスの浜辺のTenKasSのレビュー・感想・評価

アニエスの浜辺(2008年製作の映画)
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話の展開の仕方というか転がり方が大学の教授の講義での話し方とだいたい同じだった。一つ前の話の展開で出てきた固有名詞を手がかりに次の話に展開し、またその中で出てきた固有名詞なりを手がかりに…という具合。この映画ではそれがはじめにアニエス・ヴァルダによって「私の夢想」みたいな言われ方をするので覚悟してついていけるし、途中クリス・マルケルa.k.aギヨームも登場してなんだかんだ頭の中でやんわりとしたヴァルダ表現史みたいなものがだんだんと形成されていく。そしてそれをヴァルダは「パズル」と劇中で呼んでいるのだが、よくよく考えると講義でヴァルダ的なパズルの構造を持たない単なる夢想を展開していた教授は相当イカれていたのだと今になって気づいた。
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