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Needing Youのnetfilmsのレビュー・感想・評価

Needing You(2000年製作の映画)
3.8
 OLのキンキーは20代も半ばとなり、家族から結婚の催促が来る。本当に愛する人を見つけたいとは思いつつ、失恋続きで恋に臆病になる自分がいる。そんな矢先、会社で新しい部署に配属されたキンキー(サミー・チェン)は、上司のアンディ(アンディ・ラウ)と一悶着おこして気まずい雰囲気に。さらに悪いことに、キンキーのミスから中国本土の取引先との商談が潰れてしまう。キンキーは意地になって一人で中国へ出向き、信頼を取り戻そうとするのだが、それを知ったアンディは急いで取引先へ向かう。20代半ば、結婚適齢期に差し掛かった女性がなかなか本当に愛する人が見つけられない。愛した男には他に彼女がいるのを目撃し、やけになって買い物依存に走るヒロイン。家では家族兄弟の強いプレッシャーを感じ、楽にくつろげない。対するアンディは女をモノのように扱い、結婚の対象とは思っていない。彼は大企業に勤める優秀な役員であり、仕事が生き甲斐で女は息抜きの一つとしか考えていない。昨夜ベッドに誘った女性に対しても、翌朝冷たくあしらう彼の姿からは、女性へのリスペクトも愛情の欠片も見えない。こんな2人が今作では運命的な出会いを果たす。

 物語の入りから、中盤の2人の心の通わせ方やライフスタイルの違い、2人にとってのライバルの存在に至るまで、およそトレンディ・ドラマの王道のようなお約束の展開が幾つも並ぶ。最初は最悪だった2人の関係が、相手の新たな一面を見つけるたびに引っくり返され、互いの意外な魅力に徐々に気付き始める。その赤い糸を緩めたり締めたりするのが、恋敵の存在である。きっかけとなるのは、アンディよりも仕事の出来る天才IT起業家ロジャーである。最初は彼を興味本位でキンキーに当てがおうとしたアンディだったが、あまりにもキンキーが彼に肩入れしたため、想定が狂う。そこから完璧な仕事人間だった彼の些細な劣等感に火がつき、愛に迷う三十路男の葛藤が始まる。これまで正統派2枚目路線が似合っていたアンディ・ラウの3枚目的な自信喪失を描いたことで、アンディの新たな魅力が開花している。終盤のバイクの場面は、『逃避行』を観ている人ならば3倍も4倍もぐっと来る名場面である。今作は2000年の香港映画界における興行収入第1位であり、ジョニー・トー作品における本国最大のヒット作となった。
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