Jeffrey

モンローに憧れてのJeffreyのレビュー・感想・評価

モンローに憧れて(1987年製作の映画)
2.0
「モンローに憧れて」

冒頭、ここはポーランド。マリリン・モンローに憧れた1人のブロンド少女。ワイルダー宛に手紙を書く、アカデミーの試験を受ける、歯並びのコンプレックス、不合格、食堂車、酔っ払い、ある青年、恋、海辺。今、幻想的なサクセス・ストーリーが始まる…本作はラドスワフ・ピポバルスキーが1987年に監督、脚本、を務めたマリリン・モンローに憧れ、映画女優になる夢を追い続ける少女の姿をファンタスティックに描いたポーランド作品で、この度VHSを購入して初鑑賞したが面白い。撮影はヴィトルド・アダメクが担当し、出演はカタジーナ・フィグラ、ビョートル・シフケヴィッチである。

さて、物語は子供の頃に"お熱いのがお好き"を観て、マリリン・モンローに憧れ、女優を夢みるようになった長距離列車の食堂車のウエイトレス、マリリンは、ある日ビリー・ワイルダー宛てに、自分を映画に出してくれないかという手紙を書き送る事を決意した。映画アカデミーの試験をうけるが、コンプレックスの歯並びが悪いことで不合格にされてしまってショックを受けるが、マリリンは、食堂車で働きながらスタジオで臨時の代役の仕事をしてチャンスを待つ事にした。ある日仕事の最中、酔っばらいに絡まれたマリリンは、ピョートルという青年に救助され、やがて2人は恋の花を咲かせる…。彼もまた、色盲のために写真学校の試験に落ちた不幸な若者である。そんな時マリリンは仕事の際に、3つの願いを叶えてもらう事のできる水で一杯になったビールのボトルの中で泳ぐ金魚を発見する。そして最後には、お伽話のようにマリリンのもとにワイルダーから出演依頼の電話がかかってくるのだった…と簡単に説明するとこんな感じで、少女を幻想の世界と誘い込むポーランドの新鋭がファッショナブルな感覚で描いた不思議なサクセスストーリーだ。

まさかこんな古いポーランド映画で、すいません大阪へ行きたいのですけどって言う日本人が出てくるとは思いもしなかった。しかも日本語が結構ポーランド人が話していて面白い。キッドはコドモ…フジヤマはフジヤマ、キッチンはダイドコ…(ロが抜けている)等。決して面白い作品ではないが主演の女優さんがキテレツで可愛くて、どこかしら不気味で、シュールな映画であり、ポーランド映画らしさは非常に出ている。羽毛が空高く舞い上がっており、列車と列車の間を歩く線路、カメラがその合間をくぐり抜けて撮られたり、水玉模様のパンツを見せたり、結構きわどいシーンなどもあって、とにかく不思議である。廃列車の場面をみるとハスの「砂時計」が一瞬頭をよぎる。

それもなんかSFチックな荒野での男女のラブロマンスが、花火の如く大爆発する周りの火薬の量に歓喜しながら壮大なロマンチックな音楽と共に抱き合ってぐるぐると回る場面などモンロー映画に出てくるようなワンシーンがオマージュされている。その後には湖で裸になって浸かったり、そこになぜか公衆電話が設置されていて湖の中心で電話をしたり、何が何だかわかんない近未来的な映画だ。そんでゴリゴリのハリウッド映画さながらのミュージックで幕が閉じるんだけど、その華やかな音楽と映像が合ってなくて笑う。この映画がDVD化される事はきっとあと50年ぐらいないだろうなって思うような映画である。つまらないわけではないけどね。
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