奈菜子

四月物語の奈菜子のレビュー・感想・評価

四月物語(1998年製作の映画)
3.9
四月より愛を込めて。

なんと小規模な愛の奇跡。
どしゃ降りのラストシーン、たくさんの傘の中から、壊れかけの真っ赤な傘を
「これがいいです」
と大好きな先輩から受け取って交差点を走っていくヒロイン
何度観ても本当に素敵でした。
大学一年生
上京
独り暮らし
片想いの先輩
甘ったるくなりそうな題材ですが、岩井俊二監督らしい、詩的で落ち着いた雰囲気がずっと続いていきます。
松たか子の瑞々しさが画面から溢れて 
彼女はこの頃から全然かわってないんだなあと思わずにはいられない。
美しい人の周りでは特別な時間の流れかたをしてるに違いないです。
冒頭、彼女が北海道から旅立って独り暮らしの部屋につく
満開の桜のした、いっぱいの花びらにまみれながら引っ越しのトラックがやってくるまで
ヒロインは手元しか画面に写らないのに
センス溢れるカメラワークや画面構成で自分が彼女になったかのような錯覚
顔を見る前に彼女を好きになってました

皆が浮き足だって、花粉が飛びかう四月は大嫌いですが、この映画に免じてちょっとは好きになってやろうと思います。
奈菜子

奈菜子