こんぺいとう

鳩の翼のこんぺいとうのレビュー・感想・評価

鳩の翼(1997年製作の映画)
4.0
1シーン、1シーンが絵画のように美しい!
ヴェネツィアのシーンは圧巻です。
私もこの映画の世界に紛れ込みたい!と思わせられました...仮面舞踏会に私も参加していいですか?笑

恋愛物はいつも登場人物の誰かに感情移入してしまうのですが、今回は主要人物3人全員の気持ちが分かり、見ていてとても切なかった。

たぶん数年前に見ていたらきっとヘレナ・ボナム・カーター演じるケイトのことは嫌いだったと思うけれど...嫌いだけでは切り捨てられない感情が生まれてしまいました。あんな切ないラブシーンがありますか!?

最初から素直に愛を信じてマートンの胸に飛び込めていたらこんな悲しい思いはしなくて済んだと思います。ですが、目の前でアヘン窟で荒んだ人生を終えようとしている父(マイケル・ガンボン)を見たら、お金の重要性を感じずにはいられなかったのでしょう。どん底の生活になってしまうかもしれないという不安は誰にでもあると思います。

マートンは本当に誠実で良い男性でした。だからこそカウチに横たわるミリーに跪いて謝るシーンに心が抉られる思いでした。

「風と共に去りぬ」のメラニーのようなミリー。心優しい人が早くに亡くなるのは物語の悲しさを倍増させますね...

「愛」と「健康」と「友情」の重要性を作者のヘンリー・ジェイムズは読者に伝えたかったのかな?「お金」だけがあっても寂しい人生ですよという忠告かもしれません。

余談:私がミリーなら財産はスーザンに渡します!笑 あと、クリムトの絵画展の内容が豪華過ぎやしませんか!?私が東京の展示会で見た時の作品数と違い過ぎてショーック!!!