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沈まぬ太陽のtakeachanceのレビュー・感想・評価

沈まぬ太陽(2009年製作の映画)
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間に休憩が入る映画を観るのは
「戦争と平和」「風と共に去りぬ」以来。
でも長さを感じさせない作りでした。

この映画は、実はJAL123便墜落事故はあまり関係がなくて
(と言ったら語弊になるけど)
日本社会の象徴としての「JAL」を引き合いに出しながら、
日本における独特の隠蔽体質や癒着体質や
事なかれ主義に揺さぶられる苦悩を
恩地元(渡辺謙)と行天四郎(三浦友和)を対比させて描き出している。

恩地の牛丼屋でのセリフが良かった。

 波に乗っている人間には、
 波に乗っている人間にしか分からない苦悩がある

とは言うまでもなく、三浦友和演じる行天四郎を指す。
正反対な人生を送ってきた二人にしか分からない、
葛藤やコンプレックスや愛憎がグチャグチャに入り混じった、
行天という人間の複雑な情感を演じた
三浦友和の演技が特に素晴らしかった。

余談だけど、10分間の休憩中にバイオリニストのダイアナ湯川さんが、
美しいレクイエムを演奏する。
彼女もまた、事故で肉親を犠牲にしてしまった遺族だったんですね。
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