伊達巻

キャバレーの伊達巻のレビュー・感想・評価

キャバレー(1972年製作の映画)
4.2
ハッピーが勝つかと思ったら負けた、愉快で華々しく観客と共にある時代を形造ったキャバレーの存在さえ今は遠くに思えてしまう。そもそもハッピーなんてあるようでなかったのかもしれない、壇上における踊りも歌もそこはかとないデカダンスの匂いが漂っていて素直な歓声をあげたい気分にはなれなかった、時代背景の説明なくしてあの雰囲気を出せるのはすごいと思った。ユーゲントのアカペラに民衆が連なって呼応していくシーンはファシズムの狂気か純粋なる団結感の引力か、恐ろしい何かが目の前で誕生している様を見せつけられたようで圧倒されてしまった。何回か挿入される下向いたおじいさんもリアル。最初にも映される歪んだグラス?、あれほどうまく見えない空気を可視化させたやり方もないと思った。キスシーンがぜんぶ倒れるくらい美しかった
伊達巻

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