Ash国立ホラー大学院卒論執筆

シュウシュウの季節のAsh国立ホラー大学院卒論執筆のレビュー・感想・評価

シュウシュウの季節(1998年製作の映画)
3.4
【上山下郷運動の悲劇】

1970年代の文化大革命期の中国を舞台に、上山下郷運動(※)によって都市から地方に送られた少女を描いている。中国では、政治的要因と性的描写から上映が禁止されている。

中国で上映禁止&内容的にも反中共的な映画と受け取っていいだろうな。とはいいつつも露骨な政治描写はなく、『火垂るの墓』のように主人公の少女に焦点を当てて、ただ彼女の半生を描いている。

コネも金もない少女が都会に帰りたいが為に、男達に体を売って遂には…。それをただ見ていることしかできないラオジン(少女の受け入れ先の去勢されたおっさん)のことを考えると心苦しい。
ラストも完全にバッドエンド。時代に揉まれてただ真っ直ぐに生きた少女の無念がここにある。


※上山下郷運動(じょうさんかきょううんどう)
文化大革命期の中華人民共和国において、毛沢東の指導によって行われた青少年の地方での徴農(下放)を進める運動のこと。下放はそれまでにも行われていたが、文化大革命以後、都市部の青年層に対して、地方の農村で肉体労働を行うことを通じて思想改造をしながら、社会主義国家建設に協力させることを目的とした思想政策として進められた。