HidekiIshimoto

わが青春に悔なしのHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

わが青春に悔なし(1946年製作の映画)
4.5
言論弾圧がとけての戦後第一作を女主人公にしたのは、ちょっとマッチョ臭い黒澤明の面目躍如だった気もする。ちょっとメンヘラ臭いワガママお嬢を開眼開花させるのが反権力闘争で獄死する男ってのもイズムの黒澤ぽいけど。とかいって20代でこれ観た時は"お前は野毛で生きるのか糸川で生きるのか?"と囁き続けるくさびを頭に打ち込まれた気分で、かといって獄死する根性などない我が青春に恥ありの顛末なんだけど、忖度ハイスキルのエリートにはならずに済んだ。ってエリートなろうにもなれんだけの顛末だ。色々いびつでもありGHQ絡みだったりもする映画だけど、それら全部呑み込んで観る者の生き様に絡みついてくる異様な力は今観ても変わらない。異様を憑依させたもの凄い原節子。が見せる終盤30分の異様な美しさよ。