さうすぽー

東京オリンピックのさうすぽーのレビュー・感想・評価

東京オリンピック(1965年製作の映画)
4.3
自己満足点 85点

東京五輪の開会式に合わせて見返そうと決めてたのですが、ここまで複雑な気持ちで観ることになるとは(^_^;)

「オリンピックは人類の持っている夢の表れである」
今回の東京オリンピックでは、冒頭で映されるこの言葉を自信をもって言えるのでしょうか?


「犬神家の一族」で知られた市川崑が監督を務め、オリンピックの記録映画だけでなくあらゆる映画の演出に影響を与えたとされる偉大な記録映画。

各競技のプレー場面がスローモーション等を使って映される場面や暗闇の中から登場してくる聖火ランナー、そして聖火が灯る場面の斬新な撮り方等、映像に芸術を感じる事が非常に多いです。
だからこそ、170分という長尺でもそれほど飽きずに映像に引き込まれます。

かなり久しぶりに見返しましたが、外国人選手の来日に歓迎ムードなナレーションや日本人達が映されるのを見ると、時代の希望を感じさせられます。
やはり、そこの場面は今の状況とどうしても比較してしまいます。
今はコロナが懸念されるなかで、外国人選手が来日するとネガティブな感情が出てしまうと、当時の状況を羨ましく感じてしまいます。

ただ、希望だけでなくネガティブにも感じる場面も映し出されるのも特徴的です。
日の出の映像といういかにもオリンピック会場である国立競技場が建つ場所に建っていた建物が取り壊されたりする場面は、希望の影に隠れる"崩壊"と"消失"を感じさせられます。


さて、今回の東京オリンピックでは河瀬直美監督が記録映画の監督を務めるそうですが、どんな記録映画になってるのでしょうか?
これほど災難に見回れた大会もなかなか無いですし、正直ネガティブな話題の方が多く見てしまいます。
そんな災厄とも言えるオリンピック大会を河瀬監督がどう撮るか、個人的には非常に見物です。