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メランコリアのbennoのレビュー・感想・評価

メランコリア(2011年製作の映画)
4.5
ラース・フォン・トリアー監督作品3作目…。

オープニング…衝撃的なモンタージュ!!
美し過ぎるスーパースローのイメージ映像…
どこかで観た…ブリューゲルの『雪中の狩人』…
そう…タルコフスキー 『惑星ソラリス』…
ミレイのオマージュもアーティスティック…
ワーグナーの♬トリスタンとイゾルデが果てしなく耳に優しい…。

これはジャスティン(キルスティン・ダンスト)の予知夢? 彼女の陰鬱な顔のアップが印象的…まるでこれから起こることを、暗示するかのようです…。

この時点ではわからないですが…印象的なワンシーン…ジャスティンと姉クレア(シャルロット・ゲンズブール)、そしてクレアの息子レオ…3人の関係性を映したショット…クレアの背後には月…ジャスティンの背後には青い惑星(メランコリア)そしてレオの背後には半月…ふたりの姉妹をとても対照的に捉えています…この冒頭約10分で既に魅了され期待が膨らみます…。


物語は2部構成…
  メランコリア(鬱病と惑星)のストーリー

第一部〈ジャスティン〉
鬱病を患っているジャスティンの結婚披露宴…普通の幸せを願ってのことでしたが…次第に彼女の言動や行動は制御不能に…そして祝宴は思わぬ方向に…

彼女に共感は出来ぬものの、他者と相容れないもどかしさ、心苦しさ、不安がのしかかります…苦しい…。

第2部〈クレア〉
展開は一変、SF?! いいえ、描かれていくのはとても現実的…むしろDisasterの様相…何故か3.11を思い出します…ただ本来のDisasterのパニック的な要素はなくあくまでも心の中を映します。

メランコリアという惑星が地球に急接近…地球崩壊の危機に…これまで妹を支えてきた模範的な人物クレアが徐々に冷静さを失っていきます…強迫観念に取り憑かれ恐怖に怯えるのです。

それとは逆に、常に死を身近に感じる鬱病であるジャスティンは惑星の接近と共に達観し落ち着いていきます。全てを受け入れたような川辺の全裸シーンは美しく眩し過ぎます…そして…彼女の台詞…

“Life on earth is evil.”
    この世に存在する全ての生命は悪

決まった運命という現実をただ受け入れるだけ…それが出来なかったクレアの夫ジョン(キーファー・サザーランド)は……。

全てが消え去ってしまえば、苦しみも悲しみも全て消滅するのです…ジャスティンの心情をものの見事に映像で表現します…救いのないことが最大の救い…ある意味とても美しいハッピーエンドです。

これほどスッキリするエンディングはありません…。


thanks to; JTK 師匠・*:..。o♬

thanks to; Takayukiさ〰︎ん・*:..。o♬
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