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メランコリアのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

メランコリア(2011年製作の映画)
4.0
その日はジャスティン(キルスティン・ダンスト)にとって、人生最高の1日になるはずだった。マイケルとの結婚パーティーは、いま、姉クレア(シャルロット・ゲンズブール)と夫ジョン(キーファー・サザーランド)の豪華な邸宅で盛大に行われている。しかし、皆の祝福を受けながら、ジャスティンは激しい虚しさと気だるさに囚われていた。何かに絡みつかれたかのように、自らの感情をコントロールできなくなるジャスティン。そして、パーティーは最悪の結末を迎える。憔悴しきったジャスティンが、クレアとジョンの邸宅を再び訪れた際、惑星メランコリアは地球に異常接近していた。地球との衝突を恐れて怯えるクレア。しかし、ジャスティンはなぜか心が軽くなっていく感覚を覚える。彼女には全てがわかっていたのだ。そして、メランコリアが地球に最も接近する夜、ジャスティンはクレアたちと共に、その瞬間が訪れるのを待ち構えていた。それは「世界の終わり」が訪れるかもしれない瞬間--。
ラース・フォン・トリアーが、自身の鬱病の経験を元に着想した「鬱3部作」の1作。
映画の中では、何故ジャスティンが結婚式の最中に抑うつ症状が酷くなるのか明確に説明はされない。
ただ結婚式に参加した広告会社の上司やジャスティンの両親の発言から、仕事に対するプレッシャーや結婚生活に対する不安や両親の不和や自身に対する無関心すべてに耐えられず、壊れていくジャスティンの心情が、過眠や倦怠感のひどさなど鬱症状のリアルな描写で伝わってくる。
惑星メランコリアが地球に接近する中で、ジャスティンの心が軽くなっていくのが、希死念慮に囚われた急性期の鬱病の心情のようで怖いが、抑うつ状態の精神をメタファーにした映画としては説得力があるけど、救いもなくやりきれない後味の鬱映画。
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