フライ

アイデンティティーのフライのレビュー・感想・評価

アイデンティティー(2003年製作の映画)
4.2
ミステリー系のサスペンスやスリラーでは、とても好きな作品の一つ。今でこそ色々な類似作品は有るが、本作のサイコとホラー要素はかなり秀逸で面白かった!当然ネタバレ厳禁なのだが、最後まで混乱させるストーリー展開は素晴らしかった。

精神鑑定を行うマリック医師は、アパートで6人の男女を惨殺した死刑囚マルコム・リバースの過去の記事や彼の証言を元に再鑑定をし、解離性同一性障害つまり多重人格者である事を確認。更にマルコムの日記が見つかり、隠された証拠を元に、弁護士が死刑執行前日の夜、再審請求すると言う異常事態に判事は動揺する。
大雨の中家族3人の乗った車は、突如タイヤのパンクで足止め。夫のジョージが確認するとハイヒールが突き刺さっており、交換作業を余儀なくされる。そのヒールは前に通ったオープンカーを運転する売春婦パリスが落としたものだった。妻のアリスは作業を見守りながら車の中に居る息子のティミーを落ち着かせようと真似をしながら後ろに後退りすると、ジョン・キューザックが演じるエドの運転する車に跳ねられてしまう。同乗するエドの雇主で女優のカロラインは、責任を恐れエドを止めるが、正義感の強いエドはアリスの元へ。雨が降りしきる中、5人は近くのモーテルへ駆け込み、管理人のラリーに事情説明すると電話は不通で50キロ先に病院がある事を聞き、エドは一人車に乗り助けを呼びに。
パリスは途中、雨で増水した道路で立ち往生しUターンするが、車をぶつけ故障。そこに病院に向かうエドが来て同乗させて貰うが、増水した道路でスタックしてしまう。そこに結婚したばかりのルーとジニーが現れ先程のモーテルへ引き返す。完全に退路を絶たれたエド達だが、そこにレイ・リオッタが演じる警官のサミュエルと、移送中の囚人ロバートが現れる。エドは何とかアリスの応急処置をし、様態は安定する。しかしエドは自分の雇主カロラインの切断された首をランドリーの中で発見。そして残された10人の過去がわかる内、更に殺人が続いて行く。

2つの無関係に思えるストーリーが同時進行して行くサスペンスミステリー系の作品だが、途中から増していく恐怖演出は、犯人や色々な現象に導くトリックで混乱するだけに、かなり楽しめた。更に残忍な殺しや、ホラーチックな展開なども重なり一層面白さを増していた。なんと言っても全く関連性の分からない2つのストーリーが進んで行く内、上手く重なるに従い、何が原因なのか、そして犯人は誰なのか最後の最後までトリック的な上手さを使う展開が秀逸で感動すら覚える面白さが。ラストは思わずそう来るかと鳥肌が立った!

冒頭から多重人格系の作品である事は分かるので、色々な想像を膨らませながら推理していたが、自分の考えが、箸にも棒にもかからない内容だっただけに、圧巻の恐怖と面白さを味わえた。同時に、秀逸なキャスト陣の演技がハマり過ぎていて余計世界観に引きづり込まれ楽しめた。
この手の作品は何と言っても二度見して整合性を楽しめるのが最高!秀作であればある程尚更!
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