「アイデンティティー」
冒頭、嵐の夜モーテルに集う訳ありの人ら。事故が起き、11人の人が一晩閉じ込められる。外は土砂降り、夫婦と子供、娼婦に女優、恋人2人に運転手、死刑囚がそこへ。異様な雰囲気、寒気、警官、第1の殺人…本作はJ. マンゴールドが03年に監督したサスペンスで、当時本作を観たきっかけがR.デモーネイが出演していたからで、大して期待せずに観たんだが、想像を超える面白さがあって、それ以来数回観て今回も久々に再鑑賞したが楽しめた。勿論この手のミステリアス系はオチを知った上で再鑑してもインパクトは薄れて徐々に評価は低くなる…SAWシリーズなんか正にそれ。物語は閉寒感あるモーテルにとある事故をきっかけに、それと冠水した道で行き場を失った複数の人々が偶然にも集う。そこで殺人が起き、その死体には部屋の鍵が備え付けられてる。何かのメッセージなのか…皆が狼狽する中、そこにあった死体が消える。2体目、3体目と神隠し。果たして彼らに何が起きてるのか…とワンロケ作品好きには堪らないよね。いやーコレはやられたよ。冒頭の医師が録音したテープをきちんと集中し、記憶すれば物語に隠された謎は解け始める。所謂 多重人格の内側を理解し、仕掛けを自力で察知して解読しなくてはならない。モーテルで1人ずつ殺され消え逝く場面はアガサの小説を思い浮かべる程だ。人格障害だとビリーミリガンを直ぐに頭に浮かべる。物語の描写を見る限りヒッチコックのサイコ辺りを意識しているのか…はたまた凶悪な殺人がなされる分、ハンニバルを彷彿させるのか…様々なサイコミステリーが本作にはある。だから好きなのかも知れない。オチやプロットの独創的さは非常に面白い。
