どんでん返しを知ったらを必ず見返したくなるサスペンススリラー
大雨による冠水で行きも帰りも道を塞がれモーテルに一晩閉じ込められることになった11人の男女。
彼らは何者かに次々と殺されて行く。やがてこの場に居合わせた11人の奇妙な符合に気づくエド(ジョン・キューザック)そこで彼を待ち受けていたものは。
というアガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」を彷彿とさせるストーリー構成だ。
どこにもいけず、連絡も外部と取れないクローズドサークルで起きる謎の連続殺人。
このお約束展開は何を観ても面白いものだが、本作の世界観を成す根本が精神世界だと知っているかどうかで見方がガラリと変わる。
元々映画とは全てのシーン、順番、映り込んでいるものに意味がある世界だが、それをより顕著にしたのが本作だ。
どんでん返しものの猟奇殺人スリラーとして中盤まで楽しみ、ある大きなネタバレを掴んだら、一度この映画で起こった出来事を思い起こして欲しい。
冒頭のショッキングな出来事から連なっていた陰惨で因果にまみれた物事の連鎖こそ、ラストに繋がる伏線なのだ。
決してスッキリはしないラストだが、そこには一級の推理小説に宿る、美しくも哀しい納得がある。