青二歳

警察日記の青二歳のレビュー・感想・評価

警察日記(1955年製作の映画)
4.3
演技巧者による人情群像劇。貧困の悲哀によって際立つ情けに涙腺決壊しますが、この映画が素晴らしいのは、貧困の中にあっても人の核たる矜持を描くところ。食い逃げをしても残るもの、子を置き去っても残るもの、それぞれの捨てられないモラルが尊い。そしてその葛藤に共感し敬意を払う所轄の警察官たち。何よりクドくない、説教臭くない、説明台詞に頼らない。いい映画。
戦後の空気を伝えるエピソードも多く、気の違った校長先生は"本日休診"とかぶる。実際そんな方もいたのでしょう。

三國連太郎の野暮ったい純真さや、ほかキャスト達の軽やかな演技が頼もしい限り。杉村春子なんて本当に巧い方ですねえ。ラスト自衛隊に合格した伊藤雄之助が餞別の握り飯を頬張る際に憚かるあの猫背が心打ちます。
ちなみに若かりし宍戸錠はデビュー当時宍戸開ソックリのイケメン。昭和の名優の息子って大抵残念なものですがこの親子すごい。そして美子役はズルい。あと太郎(馬)優秀!