ほーりー

警察日記のほーりーのレビュー・感想・評価

警察日記(1955年製作の映画)
4.0
1955年は森繁久彌の当たり年で、「夫婦善哉」と本作で一躍、時の人となった。

福島のある田舎町の警察署を中心に描く群像劇。全編に渡ってほんとーにのんびりしていて、観ているこっちもいつの間にかずうずう弁になっちまうでねぇかという雰囲気の作品。

酔いつぶれた馬借を置いてひとりで家に帰る馬、手で押した方が早い消防車など、思わずクスッと笑ってしまうような、ほのぼのさが何ともいえない。
最近、昭和時代を舞台にした映像作品が多くなったが、今ではもう見ることができない牧歌的な原風景を、やはり今の人々は欲しているのではないかと思う。

ところがこの映画、「ああ昭和は良かった」なんて生易しい作品では決してないのだ。

家が貧乏ゆえに悪徳業者に身売りされる娘…

旦那が家を飛び出てしまい無銭飲食する母子…

幼い子どもらを養えず捨ててしまう母親…

両想いだった娘を金持ちにとられた青年…

子を全員戦争で失い頭がおかしくなった元校長など…

ほのぼのとした人情や美しい自然に反比例して、昭和という時代の残酷な一面もはっきりと本作では描かれている。

そして本作必見なのが、捨てられた女の子を演じた弱冠5歳の二木てるみの存在!

森繁、三國連太郎(若い!)、伊藤雄之助、三島雅夫、十朱久雄、殿山泰司、多々良純、沢村貞子、杉村春子、千石規子、東野英治郎、織田政雄、岩崎加根子、左卜全、飯田蝶子、宍戸錠(これも若い)、坪内美子といった強者たちが、5歳の女の子の前で霞んで見えてしまう。