滝和也

マタンゴの滝和也のレビュー・感想・評価

マタンゴ(1963年製作の映画)
3.6
この声はどっかで…。
あ!考えることはない。
バルタン星人そのものだ。

東宝特撮の中でも
最もホラー色の強い作品

「マタンゴ」。

土屋嘉男さん訃報を受けて見た、ガス人間が面白かったので、こちらも借りてきました。マタンゴ!です。子供の頃に怪獣大百科に乗っていたマタンゴ怪人が余りにも怖くて見てなかった…

7人の若者が豪華なヨットで海に遊びに…。嵐にあい漂流し、流れ着いたのは無人島。漂流船の墓場であった。最近流れ着いたと思われる船にも何故か人影も死体もなかった。水はあるが、鳥すら近寄らず、ほぼ食べ物がない島。ある一つの食べ物を除外して…。

キノコが怖い…。人も怖い…。

この作品、極限状態に追込まれた人間をリアルに描写してきます。また舞台となる難破船の船室のセットやジャングルの不気味さが半端なく、怪しげな音楽と相まっておどろおどろしい感じに。さらに特殊メイクの怪人、マタンゴの造形は特技監督円谷英二の面目躍如です。

また脚本も原案にショートショートの星新一が加わっており、皮肉が効いている。とにかく人の業というか、生身の部分を浮き彫りにしてくるので、驚きが途中いくつかあるんです。

出て来る方の役は大学教授や有名歌手、作家に社長。エリート達で一皮剥けば…と言う展開であり、普段はゴジラやモスラで主役や準主役で出てくるメンバーなんで、ゴジラシリーズ見てる方は特にかも。まぁ土屋嘉男さんは比較的いつもの役なんですが、この社長役はとても良い役で印象に残りますね。あ!水野久美さんは見た目通りの役です(笑)

特撮を餌にしたサバイバルドラマと言う感じなので、戦いや血しぶきなどは期待しないでください。でも本多猪四郎監督の腕が見られるお話だと思いますので興味のある方はぜひ。この時代にこの内容。カルト作品、トラウマ映画だと思いますよ(^^)

追記 因みにマタンゴの声がバルタン星人に流用ですね。時代的に。
滝和也

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