こたつむり

カエル少年失踪殺人事件のこたつむりのレビュー・感想・評価

カエル少年失踪殺人事件(2011年製作の映画)
3.4
♪ 釣りに行こう 釣りに行こう
  雨がやんだら迎えに行くね

子供が失踪したときの悲しみ。
親ならば言わずとも伝わる話ですよね。だから、当事者になったら形振り構っていられないのも分かる話。「諦めたくない」という想いだけが動力源なのです。

そう言えば、日本でも同じような話がありました。当時は「もしかしたら毒親なのでは?」とか下衆な勘繰りも目にしましたが、口に出したら(ネットに書き込んだら)宣戦布告と同じ。第三者が気軽に口にするべきではないと思います。

本作はそんな物語。
カエルを探しに行っていなくなった5人の少年。彼らを取り巻く大人たちの想いを描いたのは「この事件を風化させたくない」という親の気持ちを代弁したものだったのでしょう。

そう。本作は事実を基にしています。
しかも、韓国では三大未解決事件のひとつと呼ばれているそうです(というか未解決事件がゴロゴロと転がっているのが韓国ですが…闇深いなあ)。

なので、色々と歯切れが悪いのも事実。
驚愕の真実を掲げることは出来ませんし、主人公(テレビ局の人間)のドラマを引き立てるわけにもいかず。正直なところ“虚無”だけが支配していました。

また、韓国の闇も色々と感じました。
特に遺族が遺体を確認する場に“報道カメラマン”が立ち会っているのは…国全体がワイドショー的な感覚に支配されているのか…ちょっと餌付くような気持ちでした。

あと、憤慨してパトカーを叩く場面も同様。
無関係(近隣)の人たちの行動にしては恐ろしいものがあります。よほどフラストレーションが溜まっているのでしょうね。怖いなあ。

なお、本作の見どころは最後の数分間。
全てはあの“着地点”のためにあるのでしょう。それは「事件を風化させたくない」という想いとは真逆の立ち位置。囁くように詠唱し、そして念じる…そんな“祈り”を感じました。

まあ、そんなわけで。
未解決事件を映画化する難しさを克服できなかった作品。映画として楽しむのではなく、その根底にある“祈り”を受け取る姿勢で臨むことをオススメします。
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