RAY

悲しみよりもっと悲しい物語のRAYのレビュー・感想・評価

3.8
“あなたが私の意味”


『私の頭の中の消しゴム』や『サッドムービー』等の作品は、僕の中では韓国映画らしい韓国映画だと思っています。
この作品もまた、そんな韓国映画らしい作品のひとつなのではないかと感じました。


構成に関しても、非常に巧く出来た面白い作品だと思いました。
穏やかで、優しくて、でもどこか荒々しくて人間らしいところも表現されていて、そんなところが良いなと思える作品でした。


〜STORY〜

ラジオディレクターのケイ(クォン・サンウ)は、作詞家のクリーム(イ・ボヨン)と同居している。
二人は共に孤児であり、辛い過去を背負っているが、互いに支え合いながら生きてきた。
そんな中、ケイは自身の余命が僅かであると宣告されてしまう…。


冒頭でご紹介した様に、この作品は非常に韓国映画らしい韓国映画だと思います。
つまり、“泣ける”というか“お涙頂戴”な映画。
そんな表現をするとあまりに露骨な作品で、むしろ泣けないんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、実際に泣ける泣けないは別にして、少なくともこの作品はうまいこと泣かせようとしてくる作品ではないと思います。
その理由が、“人間らしさ”が描かれていたことです。

どんなに美しい愛を描こうとしても、あまりに美し過ぎるのでは人の心には響かないかもしれません。
それはきっと、本当の美しさというのは傷付いても泥に塗れても、時には嘘をついてでも、一筋通った心があるということだからなのではないかと思います。
この映画の良さは、綺麗な話で“お涙頂戴”するのではなくて、人間らしさで“お涙頂戴”するところなのです。
そういう意味では、冒頭に並べた『私の頭の中の消しゴム』や『サッドムービー』とは少し異なる作品なのかもしれません。


誰かを本気で好きになるということはこういうことなのかもしれないなと思えたし、自分自身にとっての愛するということをあらためて考える機会にもなりました。


観て良かった。
RAY

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