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真実のSNのレビュー・感想・評価

真実(1960年製作の映画)
4.4
ブリジット・バルドーのプリケツ見たさで手に取ってしまうとおそらく後悔することだろう。
実際にあった事件(ポーリーヌ・ドビュイッソン事件)に想を得た作品。ブリジット・バルドーが演じる主人公ドミニック・マルソーは、恋人であるジベール(若き日のサミ・フレイ)を殺害したという廉で、裁判にかけられている。ジベールは将来を嘱望された指揮者の卵で、同じオケでヴァイオリンを担当するドミニックの妹アニーと婚約の約束をしていた。奔放でどこか多情なドミニックは、品行方正な妹のことを妬ましく思っていた。そこで彼女は、ジベールを寝取ることによって彼女を困らせようと試みる。嫉妬心からのいっときの過ちはもつれにもつれ、ドミニックはその手でジベールを殺めてしまうことになる。

裁判所のシーンと回想シーンを往復しながら進行するが、その構成の巧さには目を見張るものがある。回想→裁判所、この構図は一貫している。回想シーンでの各エピソードで目撃者となる人物が、そのまま裁判所での証人となる。映像で提示される事実と、証言台での口実の配分、そしてその移行のスムースさ、どちらをとっても演出の妙ともいうべき見事さだ。えてして一本調子の単調な展開になりがち裁判ものだが、これは面白い。弁護士がやる気なく紙に蜘蛛の巣の落書きをするあたりの洒落にならない茶目っ気もまたよし。
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