自分の元を去っていった小学生時代の教師への想いを胸に、夢も希望もない日常を生きるサチ子。
誰にも心を許さずに、ゆきずりの関係でしか他者と関わらない姿は、心に開いた穴をその場しのぎで埋めているよう。
やがて「悪徳こそが人間の本質」だと理由なき反抗を始めるサチ子。そして徐々に加速していく彼女の暴走。
その行動の良し悪しは置いておいて、彼女の心情がそのまま具現化して画面に映っているようだった。それはまるで人の心そのものを表しているように。
ナンバーガールが鳴り響く中、悲壮感を抱えながらも軽やかに疾走する宮﨑あおいの姿こそティーンの象徴だろう。
なにもキラキラしていない、心の闇だけが表出したような映画だけど、これもまたもうひとつの青春の姿。