き

害虫のきのレビュー・感想・評価

害虫(2002年製作の映画)
3.7
これ好きだなあ
監督はきっとロリコンで女の子のふくらはぎが好きなんだろうなぁと思ったけれど

不安定な家庭から逃れるように毎日フラフラしているサチコ。本人はこれといってなにもしていないのに、引き寄せられるようにして悪いことに巻き込まれていく。

サチコの「不幸な少女」性にたかる欲や幻想や善意が禍々しくてずっと陰鬱な雰囲気がぬぐえない。ただ演出は空想めいていて、サチコの内面を描くというよりは監督の「女の子にさせたい諸々の趣味」の幕の内弁当感がある。
ただそもそもおじさんが少女の内面を描こうとするのはどうかと思うので、男性監督はこういう作品のほうがいいと思う、とんだ偏見だけど。

自堕落に過ごすサチコなんだけど、一度は夏子のはたらきかけでうまくいきかける。それでも夏子の好きな子に好かれてしまったり、母親の彼氏に襲われかけたり、と結局はトラブルを起こして周りのネガティブな感情を買い続ける。
夏子もまたサチコの対極にいるのでまったく分かり合えていないこの感じ。こういう、やさしいのに空回っててお節介な優等生いるいる。ちなみに女性監督なら夏子を主人公にしそう。なんとなく。
いやでもこんな蒼井優がいるんだっていう感動。どっちかといったらいまの印象では蒼井優がサチコ感あるもんね。

サチコはとにかく周りと雰囲気が違っており、それが引き寄せてしまうものの複雑さといったらない。監督はサチコが害虫として撮ったと公言しているみたいだけど、それは納得いかない。見ている側としてはやたら害虫にたかられるお花 サチコっていう印象だった。なんでサチコが害虫なの。

中学生くらいなのになんだかやたらと魅力的で裏社会に居場所を見出そうとするのはなんとなくレオンを連想させた。宮崎あおいが当時のナタリーポートマンの雰囲気と似ている。影響受けてたのかなあ。

それにしても先生との文通の内容とか、最後のりんごとか、ちょっとワザとらしい気がするけど、ここまであからさまになるとそれはそれでいいかも。

ちなみにこの映画でナンバーガールも初めて知ったけどすごくいい。ていうかちょっとしたとこで入る音楽よいよね。
き