シズヲ

キャノンボールのシズヲのレビュー・感想・評価

キャノンボール(1980年製作の映画)
3.3
往年のオールスター集結、大陸横断レース!!主演のバート・レイノルズを始め、ディーン・マーティン、サミー・デイヴィス・Jr.、ロジャー・ムーア、ジャッキー・チェン、etc……等、当時のそうそうたる顔触れが揃う。登場人物達のキャラクターも役者のインパクトに負けておらず、どいつもこいつも濃い奴らばかりなので見ていて中々楽しい。しかし肝心のレースとしての疾走感、殆どナシ。終始めちゃめちゃグダグダなので特に盛り上がる要素はない。インパクトのあるスタントも無くはないけど、映画のリズム感には全然貢献してくれないので大した意味は持たない。

「この映画はカーアクションじゃあないのか?」と思われそうだけど、むしろ本作は豪華キャストが勢揃いしてドタバタした掛け合いを繰り広げる漫才映画として見るべきなのだ。冒頭から登場人物同士のコントに尺が費やされ、レースが始まる中盤以降もギャグ的な場面が延々と続くんだよな。映画の大半がコメディで構成されていると言っても過言ではない。ボンドガールよろしく毎回同乗者の女性が変わるロジャー・ムーアや殆ど化け物扱いされているジャック・イーラムが妙にツボ。

ぶっちゃけレース要素を期待すると拍子抜けだし、アクションそっちのけで漫才ばっかやってるしょうもない内容なんだけど、同監督の『トランザム7000』を思わせる本作の何とも言えぬ能天気さは妙に憎めない。レースはあっさり終わるくせにラストは「大団円だぜ」「楽しいお祭りだったぜ」と言わんばかりのムードで謎の多幸感がある。スタッフロールのNG集も和気藹々としていてやけに微笑ましい。
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