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普通の人々のtjZeroのレビュー・感想・評価

普通の人々(1980年製作の映画)
3.9
一見平穏な、上に近い、中流の家庭。

長男をヨット事故で亡くしてから、崩れ出していく。

自殺未遂をし、セラピーに通う次男。
そんな息子に愛情を注げない母。
どちらにも本音をぶつけられない父。

1980年製作のアメリカ映画。

ほぼ同時期(’83)の邦画『家族ゲーム』と比べながら観ていた。

どちらも、平和なはずの家庭内が崩壊している様子を描いてる。

森田芳光監督作の方は、ブラックな笑いをまぶし、オフビートでラジカルな味わい。

こちらロバート・レッドフォード作は、技巧を排し、俳優たちの真摯な芝居をじっくりと見つめる正統的な作り。

『家族ゲーム』では、長いテーブルに横一直線に並んでの食事シーンが話題になったけど、こちらの食卓の場面も印象的。
机の三方を父、母、次男が囲み、観客側の一辺だけがポッカリ空いている。
いかに亡き長男の存在がこの家族にとって大きかったか、画のチカラだけでクッキリと表現されている。

両作が登場した’80年代といえば、バブルの手前で、ポップでカラフルで、何もかもがキラキラしていた印象があるけれど、家庭の中では洋の東西を問わず、いろんな軋みが生じ始めてたのかな~、って感じさせられた。
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