けーな

普通の人々のけーなのレビュー・感想・評価

普通の人々(1980年製作の映画)
3.5
ロバート・レッドフォードが初めて監督した作品で、アカデミー賞4部門を獲得した。

10代の頃に観た時には、全く理解できなかった。と言って、年月経った今観ても、今作を理解するのは非常に難しい。長男を事故で亡くした後の、家族のすれ違いと、家族が崩壊していく様子を淡々と描いており、終始、重苦しい雰囲気が漂っている。見ているこちらの気分も落ち込みそうになるくらいだ。

しかし、どうしても、この母親に共感することができないため、映画自体を好きになることができなかった。我が子を亡くしたら、まともな精神状態ではいられなくなるだろうとは思うが、次男に対して、このようになってしまうものだろうか。そこが、この映画の肝なのだろうとは思う。

コンラッドが、カレンのことを電話で知った後、正気を保っていられなくなり、事故のことがフラッシュバックしてきて、カウンセラーに会いに行く、その一連のシーンの描き方が、素晴らしかった。その時の、カウンセラーの医師との交流も、とても良かった。

自分の目の前で、兄を失い、それが自分の過ちによる物かもしれないというような経験をしたら、そこから立ち直ることは、なかなか出来ることではないだろう。そのような難しい役柄を演じたティモシー・ハットンが、実に見事だった。若くしてアカデミー助演男優賞を受賞したことも、大いに頷ける。

個人的には、私のオールタイムベストの映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」で、ヒロインのデボラを演じたエリザベス・マクガヴァンが、コンラッドの女友達として出てくるのが嬉しかった。今作が、彼女のデビュー作である。
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