RYUYA

普通の人々のRYUYAのレビュー・感想・評価

普通の人々(1980年製作の映画)
4.0
長男の死を境にばらけてしまった、同じ屋根の下で暮らす普通の人々の話。

まず、素晴らしいタイトル。
「家族」でなく「人々」なのが痛烈でいい。
皮肉なのに愛も感じるのがいい。

僕が高校生の時、暇すぎて書いた映画脚本の事を思い出した。
それも兄弟の話だった。
兄は成績優秀で活発で人柄も良く、母のお気に入り。
主人公であるその弟は、内向的で無気力で、勉強も兄から教わっていたが大学受験に失敗。
順風満帆だった兄はある日謎に自殺し、両親は立ち直れなくなるが、弟はなぜか受験勉強に力を入れ始める。
そして次の春、見事合格し、両親の関心をようやくこちらに向かせたその夜、彼はマントを羽織ってピエロのメイクで家出して奇声を発してどこかへ行ってしまう。そんな話だった。
なんと具体的でない話だろう、おそらく映画の見過ぎが功を奏し、僕を内側からこじらせたのだろう。中高生が必ずやる実在の猟奇事件や自殺のウィキ調べを僕もまんまとやっていて、そんな話を考えていたんだろうなぁ...。

その頃からずっと兄弟の映画が好きで、特にインディアンランナーと重力ピエロなんかは兄弟間の差とその哀しみと優しさに羨望すら抱いたほど。僕には姉ひとりだったし、親父はずっと単身赴任で家は母姉おばあちゃんの女だらけの生活大会だったから、ちょっとコンプレックスもあったのかなぁ。

自分のことズラズラ書いててもしょうがないから終わりにしますが、これはいい映画でした。
兄が不在なのに兄が見える。
そうゆうの、映画だよね。
RYUYA

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