ボブおじさん

グリーンマイルのボブおじさんのレビュー・感想・評価

グリーンマイル(1999年製作の映画)
4.4
〈「グリーンマイル」それは電気椅子に続く奇跡の通路〉
それにしても監督のフランク・ダラボンは、よくこの仕事を引き受けたと思う。原作がスティーヴン・キングで刑務所が舞台とくれば、誰だって彼自身が監督した名作「ショーシャンクの空に」を思い浮かべる。

〝またか?二匹目のどじょう狙い?〟そうした先入観を見事に打ち破り、ダラボンはまたもや前作に負けない傑作を作り出した。

大恐慌中の1935年。コールドマウンテン刑務所にあり、処刑室に続く通路があせた緑色であるため、“グリーンマイル”と呼ばれる死刑囚専用棟に巨漢の殺人犯コーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン)が収監される。だが、幼女惨殺の罪状とは裏腹に、コーフィは素晴らしい力を持っていた。彼は看守長ポール(トム・ハンクス)の重度の尿路感染症を治癒し、残忍な看守パーシーに踏み殺されたネズミをよみがえらせる。奇跡を目の当たりにしたポールはコーフィが本当に殺人犯なのか疑いだす。

キングの原作はネタばれを防ぐために6冊が毎月1冊ずつ6か月連続で刊行され、話題となった。先ずはこの長大な原作を3時間の感動作にまとめ上げたダラボンの脚本が見事!
ほぼ全ての要素を取り入れながら、更に原作には無い映画的な挿話を付け加えることで感動を深めてさえいる。

この映画は、刑務所の中で暗いトーンで進行するが、超常現象を扱った一種のファンタジーだ。映画の中に奇跡が存在し、奇跡を行う者が出てくる。そしてその奇跡を担う者がおよそファンタジーとかけ離れた存在であることが更なる感動を呼ぶ。

最後にこの映画を忘れられない作品に押し上げた2人の役者に触れておきたい。主役は誰が見ても大物トム・ハンクスであることは間違いないのだが、印象深い悪役を演じたサム・ロックウェル。当時まだ無名の若手だった彼に、全ての観客は嫌悪感を抱いたはずだ。

そして忘れてならないマイケル•C•ダンカンの一世一代の当たり役。後にその巨体を活かしてアクション映画や犯罪映画でも活躍したが、この映画によって単なる巨漢のアクション俳優ではなかったと永遠に人々の記憶に刻まれた。


公開時に劇場で鑑賞した映画を動画配信にて再視聴。