このレビューはネタバレを含みます
2011年制作、スティーヴン・スピルバーグ監督による第一次世界大戦を生き抜いた一頭の馬の物語である。
馬の名はジョーイ。
物語は第一次世界大戦前夜、彼が産まれたところから始まる。
ジョーイはイギリスのある片田舎の貧しい農家に引き取られ、その家の息子アルバートに可愛がられ逞しく育っていく。
いろいろな調教に応えるジョーイはアルバートが手笛を吹くと側に寄って来るまでになる。
が、貧乏には勝てず父親が秘かにジョーイを軍隊へ売ってしまう。そこからジョーイの波乱万丈の旅が始まる。
イギリス騎馬隊将校の馬として戦場へ。
激戦で多くの馬が倒れる中、馬上の将校は戦死しジョーイはドイツ軍側に捕まる。
世話役の兵隊がジョーイと脱走し、フランス人の農家に隠れるも軍に見つかり銃殺刑に、置き去られたジョーイを農家の娘が連れ帰り世話を始める。
しばらくしてドイツ軍がふたたび彼を連れ去り、大砲引きの重労働に就かせるが、イギリス軍の攻撃に紛れ、激しい砲火の中、塹壕戦の激戦地に迷い込む。
両軍の睨み合う中間地帯で有刺鉄線に絡まり身動きが取れず倒れてしまう。
その様子を見ていた両軍から兵が一人ずつカッターを持ちジョーイを助け出すが、どちらが持ち帰るかで口論になるも、コインを投げイギリス兵が持ち帰ることに。
大怪我を負ったジョーイはイギリス軍の後方野戦病院へ連れられるも医者は回復の見込みなしとして安楽死の射殺を指示する。
銃口が向けられた時、聞き覚えのある手笛の音。
ジョーイが近寄った負傷兵はアルバートであった。
生き抜いたアルバートとジョーイ。
故郷に帰って来た彼らを両親はただ抱きしめるのであった。
ジョーイという馬の旅に関わる人々を一筋の線で繋ぐ。
いずれの人々も過酷な環境下にありながらジョーイに対して優しい眼差しで接していく。
おそらくジョーイが醸し出しているのか生き抜こうとしていることを人は感じ取れるのではないのだろうか。
それにしても戦争、そして人間とは何と不条理なのか!
必死に殺し合い、手にかけたものを夢中で助け出そうとする。
いい涙を久々に流した。