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007/ゴールドフィンガーのmurabonのレビュー・感想・評価

007/ゴールドフィンガー(1964年製作の映画)
5.0
ボンド映画の主題歌で何が一番好き?というのは永遠のテーマの1つですが、なかなか決められませんよね。
私はショーン・コネリー時代で言えば、フランク・シナトラの娘のナンシー・シナトラが歌った「007は二度死ぬ」の主題歌が好きです。
インパクトと知名度で言えばイギリスのスター歌手シャリー・バッシーが歌った本作「ゴールドフィンガー」の主題歌が一番でしょうね。第85回アカデミー賞で007の映画化50周年を記念したトリビュートコーナーがありましたが、そこでシャリー・バッシー本人が「ゴールドフィンガー」を熱唱されてました。当時76歳とは思えないパワフルな歌声に感動しました。YouTube等でも観れるはずなので皆さんも一度ご覧下さい。

ということで、本題の007シリーズ第3作目「ゴールドフィンガー」。悪役の名前がタイトルになっているのは本作と24作目の「スペクター」のみ。ショーン・コネリー版の007では敵としてスペクターが登場しない唯一の作品です。

完全にエンタメ方向に振り切った作風で、娯楽大作という今後のシリーズの方向性を決定付けた作品ですね。世間的にイメージされる007はこのテイストでしょう。シリーズの人気ランキングでもいつも上位に食い込んでますね。
金塊を強奪する計画かと思いきやという一捻りしたプロットも面白いですね。
007では珍しくアカデミー賞「音響効果賞」を受賞している作品です。

007シリーズの見所の1つである秘密兵器が満載のボンドカー「アストンマーチンDB5」が本作でついに登場。機銃、煙幕、射出座席など男の子には堪らないアイデアの数々はすごいですね。
DB5は元祖ボンドカーということもあり、この後のシリーズでも何度か登場、最新のダニエル・クレイグ版でも22作目の「慰めの報酬」を除いて実は全作品に登場しています。最新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」でも大活躍するようで、いかに特別な存在かが分かりますね。

ショーン・コネリーはボンド役もかなり板についてきた感じで魅力的です。よくよく考えてみると本作のジェームズ・ボンドは敵に捕まったり、仲間に情報も伝えられなかったり、爆弾の解除もできなかったりと全編通してあんまり役に立ってないんですよね。ジェームズ・ボンドの男性の魅力で全てを解決してしまう脚本は普通に考えると、それどうなの?ってなるところですがボンド映画なんで気にしないようにしましょう。ボンドがゴルフをする貴重なシーンがありますが、ショーン・コネリーは実際にゴルフ好きだったとか。ゴルフというチョイスが紳士感があっていいですよね。

腕時計がはっきり映るのも本作から。ブロスナン以降の世代はOMEGAのイメージでしょうが、本作ではROLEXサブマリーナ。NATOベルトの幅が合ってないのはご愛敬。「スペクター」では時計自体はOMEGAでしたがベルトは本作のNATOベルトを意識してましたね。ボンドは海軍中佐なので防水の時計がイメージにピッタリ。

ボンドガールはの定義は良く議論になりますが、私的には話に絡んでる女性はみんなボンドガールと認定しています。本作では美女が主に3人登場。メインはオナー・ブラックマン演じるプッシー・ガロア。変わったお名前ですが、なんと女性のあそこがたっぷりという意味・・・。原作者イアン・フレミングのネーミング・センスが恐ろしいですね。

この後のシリーズでは作中で死んでしまうサブのボンドガールが登場するのがお約束になります。
ポスター等でフィーチャーされている金粉を塗られて殺されるジル・マスターソンは非常に印象的ですね。22作目の「慰めの報酬」でもオマージュがありました。作中では全身に金粉を塗られると皮膚呼吸ができなくて死ぬともっともらしく解説されますが実際は死なないそうです。

悪役のゴールドフィンガーも個性的で非常に良いですが、用心棒のオッドジョブがそれ以上に印象に残りますね。刃が付いた山高帽を投げて人を殺すというのは冷静に考えるとバカバカしいものの、これぞ007という外連味溢れる設定で素晴らしいですね。

アメリカが主要な舞台となっていますが、中盤のスイスの山々も美しく、世界を股にかけてる感がボンド映画らしくていいですね。シリーズの順レギュラーとなるCIAのフィリックス・ライターもけっこう活躍します。演じる俳優が毎回異なるのがややこしいキャラクターです。

他にもボンドが拷問にかけられる場面など印象的なシーンが数多くある本作。
ダニエル・クレイグ世代の方も23作目の「スカイフォール」に繋がるネタがあったりするので是非ご覧下さい。
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