映画漬廃人伊波興一

神の道化師、フランチェスコの映画漬廃人伊波興一のレビュー・感想・評価

5.0
時には恥を忍んで告白します。観たい映画の半分も観ていない事を。
ロベルト・ロッセリーニ「神の道化師 フランチェスコ」

映画も長い間、観続けいれば(待ち焦がれる)作品が現れてきます。
若い頃に出逢っていればその邂逅の価値に気づかぬまま涼し気にやり過ごしたりもしますが、齢(よわい)50も過ぎれば普段は戒めているつもりでも残り人生を逆算してしまう悲しい習慣が定着しつつあります。
残り30年生きるとして果たして出逢えるのか?何しろ50年出逢えてないのだから。
ところがそんな機会が不意打ちに訪れてくれることも(観る)という行脚の中に出現いたします。
たとえば一昨年、友人の紙芝居師を介してグル・ダッドの「渇き」に巡り合えました。あろうことかそれ以外の「55年夫婦」「紙の花」まで含めて。こちらがその名を知って以来、いつめぐり逢えるのかと待ち焦がれる事25年。ほとんど諦めかけていた頃、その紙芝居師さんがあっさりと「ああ、DVD持ってますよ」と。
ついでに伊藤大輔のこれまた未見の傑作「御誂次郎吉格子
」「下郎の首」「反逆児」「大江戸五人男」までその方を介して観る事ができたのですから、映画と知己を得るには、悪意とも寓意とも、あるいは鷹揚ともつかぬような人との出会いが不可欠なようです。

そして今回やっと、というよりも(ついに)めぐり逢えました。ロッセリーニ「神の道化師 フランチェスコ」
20代の頃、
無防備都市 Roma, città aperta (1945年)
ねたみ(嫉妬) L'invidia (1952年) オムニバス『七つの大罪』の一篇
戦火のかなた Paisà (1946年) - 監督・脚本・製作
を観ました。
30代の頃
ストロンボリ、神の土地 Stromboli (1950年) - 監督・脚本
イタリア旅行 Viaggio in Italia (1954年) - 監督・脚本
不安 La paura (1954年)
を観ました
40代の頃
ロベレ将軍 General della Rovere (1959年)
を観ました。
50こえてようやく
ドイツ零年 Germania anno zero (1948年) - 監督・脚本・製作
ヨーロッパ一九五一年 Europa '51 (1952年) - 監督・脚本
そして昨日の神の道化師、フランチェスコ Francesco, giullare di Dio (1950年) - 監督・脚本
に巡り逢います
未だに出逢えぬ
白い船 La nava bianca (1941年) - 監督・脚本
ギリシャからの帰還(パイロット帰還ス) Un pilota ritorna (1942年) - 監督・脚本
L'uomo dalla crose (1943年)
Desiderio (1946年)
アモーレ L'amore (1948年) - 監督・脚本・製作
殺人カメラ La macchina ammazzacattivi (1952年) - 監督・脚本・製作
自由は何処に Dov'è la libertà? (1954年) - 監督・脚本
火刑台上のジャンヌ・ダルク Giovanna d'Arco al rogo (1954年) - 監督・脚本
インディア India (1959年) - 監督・脚本
ローマで夜だった Era notte a Roma (1960年) - 監督・脚本
Viva l'Italia! (1961年)
ヴァニナ・ヴァニニ Vanina Vanini (1961年) - 監督・脚本
Anima nera (1962年)
カラビニエ Les Carabiniers (1963年) - 脚本
Da Gerusalemme a Damasco (1970年)
Anno uno (1974年)
Il messia (1975年)
Concerto per Michelangelo (1977年)
Beaubourg, centre d'art et de culture Georges Pompidou (1977年)

何と、結局、半分も観ていない!
普段は偉そうに映画能書きを垂れている私がいかに映画を観ていないかお分かり頂けるかと、思います。
貧乏な私はDVD購入などおいそれとは出来ませんが、最早なりふり構っている余裕などございません。「神の道化師 フランチェスコ」の修道士ナザリオ・ジェラルディによって布教を赦された弟子たちが四方八方に旅立ったように、私もロッセリーニという巡礼に旅立たねば。
最後に巡礼の決意を与えてくれた滋賀県在住の年上の友人Kさん、本当にありがとうございました。
追伸
上記のの作品でひとつでもDVDを所有されている方、お借りできませんか?www
もちろん大切に扱い、ささやかですがお礼も致します