チッコーネ

砂の上の植物群のチッコーネのレビュー・感想・評価

砂の上の植物群(1964年製作の映画)
3.5
飽食の中年男が、戯れに自己問答するうちスリリングな謎掛けにはまっていくという物語で、作中には観念的なイメージが氾濫している。
中平康の静謐な感覚は、終始心地よい。
また「単なる挿入」とは異なるセックスのかたちを描写した映像も刺激的、かつ滑稽で退屈はしない。

水商売女の慇懃な媚態を完璧に表現しつつ、被虐的な快楽に溺れる女を演じた稲野和子と、その乱れ髪は最高。
極ノンケ的な視点で女体ばかりを映す撮影ではなく、主人公の仲谷昇を下方から捉えたクローズアップ場面も多数ある。
ガツガツと食す女たちに倦んだ様子を見せる植物的な彼だが、女性嫌悪に至るほどデリケート、というわけでもないようだ。

ソフト化中止が繰り返されてきた作品だと記憶しているが、やっぱり淫行場面がまずいのかしらん。