朱音

コンスタンティンの朱音のネタバレレビュー・内容・結末

コンスタンティン(2005年製作の映画)
2.2

このレビューはネタバレを含みます

エクソシストの悪魔祓いをヒーロー・バトルものに仕立てるという着想は非常に面白いし、ダークスーツ姿のキアヌはやっぱりスタイリッシュで恰好良い。
ニコチン中毒で肺がん末期にも拘わらず煙草をスパスパと吸い続け、悪魔祓いに拳でボコスカ殴ったり、口汚く、卑猥なハンドサインなどジョン・コンスタンティンのやさぐれ感と退廃的な色気の溢れるキャラクターが魅力的。
十字架モチーフの銃や純金メリケンサックなどのアイテムなど厨二心をとてもくすぐられる。
ヒーローの型は非常に上手く出来ているのだが、それ以外の点があまりに中途半端で映画としての完成度を著しく落としていると感じた。

まずストーリーが詰め込み過ぎてゴチャゴチャしている、というかまるでダイジェスト版を観ているかのような忙しなさで、あれよあれよと展開していく。
何というか、長編漫画の1巻から10巻ぐらいまでを一気に読んだ感じ。
もうちょっとエスカレーションを抑えて、話を絞った方が、作品の世界観や、各々のキャラクターなどを堪能出来たんじゃないかな。
主要なキャラクターが何人も死んだけれど、何の思い入れも出来なかった。
あと地獄に行くシーン、絵的にも事態としても非常にインパクトのある展開だが、それだけ?という感じで終わってしまうのも肩透かしだった。
それでいてあまり興味深くないシークエンスが何とも焦れったいテンポ感で描かれていて、物語から心が離れてしまう事が多かった。

個人的に気になったのは主人公とヒロインの親密さというか、距離感が、心情を表現したものであるのを踏まえて見ても、不自然で気持ち悪いと思った。

終盤のハーフ・ブリード達を聖水スプリンクラーで一網打尽にした後、躍りかかってくる生き残りを撃ち殺していくガン・アクションが最大の見せ場だがこれもまたとても短い。
そしてラスト・バトルはプールでバチャバチャ、水から上がってプールサイドでレスリングだか絞め合いっこみたいな、何とも地味で冴えない。
全体的に戦うアクション・シーンをもっと見せてほしいという欲求が終始付き纏う。全然物足りないし、最後は悪の親玉に敵をやっつけてもらって、主人公いよいよ年貢の納め時かと思いきや、今度は神様に救ってもらって、ってこれじゃカタルシスも何も無い。どんでん返しとしての機能を果たしていないと思う。

ティルダ・スウィントン演じるガブリエルの、善き人に見えて狂気をたたえたような、超越的な佇まいは見事だった。
ジョン・コンスタンティンは魅力的だが、もっと振り切った方が面白い気がする。金に汚いとか、俗っぽいとか。
朱音

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