こたつむり

昼下りの決斗のこたつむりのレビュー・感想・評価

昼下りの決斗(1962年製作の映画)
3.0
★ 老境の果てに見出した銃弾の価値

サム・ペキンパー監督作品が観たい。
…ということで、本作をチョイスしましたが…うーん。なんとも消化不良でした。正直なところ、西部劇に慣れ親しんでいない自分が鑑賞するのは早すぎたのかもしれません。本作は西部劇として“異端”な気がするのです。

時代劇も西部劇も様式美が大切。
ある共通認識の上に成り立つ世界観だからこそ、快刀乱麻を断つような物語が活きるというもの。

しかし、本作はそれがズレています。
まず、主人公からして異質。胸に“想い”を抱え、老体に鞭を打って馬を駆る元保安官であり、老眼鏡が無ければ契約書の文字を読むことができない…なんて哀愁が漂っている男なのです。

しかも、物語は彼に焦点を合わせません。
どちらかと言えば、彼の周囲(元相棒、若者、父親の価値観に縛られた娘など)が動いて物語を構築します。主人公としては異色の“薄さ”じゃないでしょうか。

また、銃撃戦が盛り上がるのも終盤だけ。
物語が遅滞して眠くなることはありませんが、全般的に淡々とした展開なのです。だから、西部劇によくあるイメージ…男臭い印象はビジュアル面だけなのですね。確かに舞台や衣装からは“ケモノ”の臭いが漂ってきそうでした。

だから、僕が思うに。
本作は他の西部劇を楽しんでから鑑賞すべき作品。そうすれば、この違和感が“何か”に変化するのじゃないでしょうか。特に高齢社会の今、主人公の眼差しに“沁みるもの”を見出せそうな気がします。あくまでも想像ですけど。

まあ、そんなわけで。
的外れな感想になってしまったことを悔やみつつ…他の西部劇を鑑賞してから再挑戦したいと思います。やっぱり西部劇と言えば『荒野の七人』とか『シェーン』は観ておくべきですかね。あと、藤子不二雄先生のファンとしては『OK牧場の決斗』も外せないかな。
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