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ラスト・モーメントのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ラスト・モーメント(1928年製作の映画)
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Filmarksは結構な数の散逸映画を登録している。本作品もその一つであり、評価のしようがない。どうすりゃいいんだ。ということでガッツリ宣伝に使わせていただく。

現在、私のブログの方で"ハンガリー映画史"を連載しているので、お暇がありましたら是非お読みくださいませ。

ハンガリー映画史① 黎明期(1986~1910)
https://note.mu/knightofodessa/n/n4ad7f38a0c19

※本作品に言及するのは③の記事です。

あんまり宣伝ばっかりじゃあれなんで一応本作品に触れておく。本作品は湖で溺れる男が過去を思い出して最後に死ぬという話を無字幕で表現した作品である。プロデューサーのエドワード・M・スピッツはフェヨシュからこの話を聴いたとき"コイツ、狂ってるか天才かだな"と思ったらしいが、結局は5000ドルという低予算で本作品を製作した。フェヨシュは主演のオットー・マティーゼンと二番目の妻を演じるジョージア・ヘイルには無給でやってくれと頼み、彼らが来られないときはボディ・ダブルで撮影を続行したらしい。本作品はフェヨシュのハリウッドデビュー作品だったが、批評的に成功し、彼の国際的なキャリアの礎となった。

そもそもハンガリーは無声映画時代にアート系映画が一本も作られないままハリウッドやドイツ、イタリアに並ぶほどの映画大国になってしまい、そのまま第一次世界大戦で敗戦した後、映画産業が壊滅的なダメージを受けたという経緯があり、1920年代は才能流出の時代だった。1923年にハンガリーを去ったフェヨシュはハリウッドに向かい、彼の地で撮ったのが本作品である。

しかし、作品に恵まれなかったのか有名な『都会の哀愁』を撮った後すぐハンガリーに戻っている。その後監督業も辞めてしまい、人類学者としてスタンフォード大学やイェール大学で教鞭を執っていたらしい。一時期はムルナウに匹敵するといわれた助っ人外国人監督も、彼のようにはいかなかったようだ。
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